価値あるアンティークコインとは?

現物資産として優秀なアンティークコインでありますが、推定20万種類あると言われるアンティークコイン全てがプレミアがつく訳ではありません。プレミアがつくことで長期投資による安定的な資産増が期待できます。なおプレミアがつきづらいコインも買値を間違わなければ地金価格分は担保されるため資産保全性は十分あると思います。

プレミアのつきやすいアンティークコインのポイントについてお話させていただきます。

<プレミアのつきやすいポイント>

  1. 希少性
  2. 人気度
  3. 状態

1.希少性

プレミアがつきやすいポイントとしてまず希少性をあげさせていただきます。希少性をもう少し分解しますと「発行枚数」「残存数」「鑑定数」となります。

発行枚数とは文字通り、そのコインが発行された枚数です。
例えば、イギリスで1839年発行の5ポンド金貨「ウナとライオン」は400枚です。このコインは超有名なのでご存じだと思いますが、現存する数は約半数、更に状態の良いものは更に半数以下と推測されています。状態の良いものとしては100枚あるかないかということになります。元々はヴィクトリア女王即位を記念して鋳造された記念硬貨であり、重臣・側近の貴族や身内だけが手にできたものでした。現代に至る中で市場に流出するようになり我々一般人も存在を知ることになりました。

2020年10月開催の第6回MDC オークション(モナコ)では5ポンド金貨「ウナとライオン」1839年 NGC PR 66 ULTRA CAMEOが1,017,000ユーロで落札され、オークションレコードとなりました。日本円にすると約1.5億円というとんでもない金額です。このNGCというのは世界2大鑑定会社の一つです。このNGC社がコインの状態を鑑定してつけたグレードが「PR66ULTRA CAMEO」となります。鑑定会社やグレードについては追ってコラムで書きますので詳細はお待ちください。希少性のポイントである鑑定数について触れたいと思います。

NGC社鑑定ページより

上の表はNGC社がこのコインを鑑定した枚数を表しています。NGC社はこのコインを22枚鑑定しており、このコインにおいては66というグレードが一番高いものとなっています。そしてその鑑定数は1枚のみです。そのためオークションでも驚くような金額がつきました。基本的にグレードが下がれば金額が安くなる傾向がありますが、このコインのように現存数が少数で更に状態の良いものはほとんどないため、どのグレードが出ても相当な金額がつくと思われます。所有者が売りに出さない限り、いくらお金をつんでも買えるものでないためです。いつ市場に売り出されるかわからないので、出た時には世界中のコレクターから買いが集中します。このコインに限らず、同じことになります。なるべく発行数が少ないものを選び、その中でも状態の良いものをコレクションすることが大事です。

なお、古い時代のコインは発行数、現存数もわからないもの多いです。特に古代コインなどは遺跡や沈没船などの発掘調査が進むと大量にみつかることもあります。発行数がしっかり管理されるようになったのは1700年代に入ってからと言われています。

2.人気度

コインは美術品としてのコレクション要素もありますので、人気のあるデザイン(絵柄)や発行国も大事なポイントになります。たくさんの人が欲しいと思うコインであれば、希少性も合わさり年数とともに値上がりが期待できます。

発行国について、日本でも世界でも人気が高いイギリスがおすすめです。
アメリカも素晴らしいコインがありますが、コイン市場が高騰しすぎており、イギリスコインの最高値が1億円台に対し、10億円台になっています。金額のスケールが大きいです。それに比べるとイギリスコインはそこまで高騰しておらず、まだまだ値上げの余力が十分あると言われています。なによりイギリスコインはデザインや種類、質感、歴史ともに他国を圧倒するものがあります。代表的なコインは上にあげた「ウナとライオン」です。このデザインは当時世界一と言われた彫刻師であるウィリアム・ワイオンが担当しました。ウィリアム・ワイオンが担当したコインはどれも人気が高く、どれも入手困難となっているものばかりです。1817年のスリーグレイセス(三美神)パターンクラウン、1847年の英国ヴィクトリア女王コシッククラウン銀貨等です。現在に至るまでイギリスは歴代の王や女王の肖像画と独創的で美術品価値の高いデザインコインを毎年発行しており、世界中にファンがおります。

デザインについても人気のある絵柄が存在します。
例えば上で出てきた「ウナとライオン」「スリーグレイセス」です。これらはそれぞれ2019年、2020年にイギリス王立造幣局(ロイヤルミント)から数量限定でリバイバル発行され、人気を博しています。イギリス連邦に所属するオルダニー島、セントヘレナ島なども同じモチーフのコインを発行し、こちらも人気です。

他に列記するとヴィクトリア女王やエリザベス女王のコイン、各国の女神コイン(オーストリアの雲上の女神、ペルーの座像の女神、イギリスのブリタニアなど)、ドイツの都市景観コイン、スイスの射撃祭シリーズ等があります。

希少で価値あるコインは下記の書籍が参考になります。

3.状態

コインの状態も大変重要です。当然コインの状態が良いものほど、プレミアがつきます。古い時代のものになりますので状態がよいものは希少です。コインの状態を把握するには鑑定会社の鑑定済みコインを選ぶのが良いです。コインには鑑定会社のケースに入っているものと、入っていないもの(通称、裸コイン)があります。

鑑定会社とはコインの状態を中立的な立場で評価し、グレーディングする会社です。世界中にたくさんありますが、その中でも2大鑑定会社と言われているのが「PCGS社」「NGC社」になります。詳細は別コラムに書きたいと思いますが、この2社がつけたグレードはほぼ同じ水準として考えられており、一般のコレクターはこのグレイドでコイン状態を客観的に把握できます。最高値は「70」になります。最高値に近いグレードを探してコレクションすることが大事になります。なお、古い年代のコインは「70」という数値はほぼつきません。

以上、プレミアのつきやすい3ポイントについて書いてきました。
長文におつきあいいただき、ありがとうございました。

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